君だけが知っている?

君ならで誰にか見せむ梅の花

    色をも香をも知る人ぞ知る   紀友則

 

義経記

東国に旅を重ねる義経伊勢三郎の館に無断で侵入した。義経は一夜の宿を乞うも、館の女房に断られる。その際、義経は、主が戻ったら、この歌を我の証に告げよ、と言って、侍詰所に強引に入り込む。深夜帰宅した主の伊勢三郎が、お内儀から事の経緯を聞いて、かの者の素性は平凡な男とも思われず。対面することなった。源氏の主従関係の遠い昔からの主であった源義朝、ゆかりの人と察知。ここに義経伊勢三郎の終生変わらぬ主従関係が構築された。伊勢三郎は関東は高崎に落ちのびた河島二郎盛俊(義経記では伊勢のかんらい義連=よしつら)の一子、伊勢三郎義盛、その人であった。

 

つまり義経の人を見る心眼は冴えて、初対面でも心が通じ合う人はいるものだとの、証なのだ。

 

上記の歌は、男女間の恋歌だが、人との結びつきで大切なことは、互いの心底にある共通した価値観を見抜き、深い信頼関係を築く事にある。

 

f:id:akooyot:20210209112500j:plain