心の絆

空海の一言

物の興廃は必ず人による。人の昇沈は定めて道にあり。 物事が良い方向に向かうか?悪い方向に向かうかは、偏に それを執り行う人の性による。 従って人は我が行くべき道を見誤れば、その人は沈むが正しい道を 歩めば、その人は人生を誤る事はない。 何事も、…

寄る辺なき人々

コロナ禍は人と人との寄る辺を破壊している。人の体と心だけではない 人と人の絆も破壊する、恐ろしいウイルスだ。何故、こんな悪辣な 疫病神を蔓延させるのか?人の性癖たる群れたがる習性をうまく利用して 人を意図も簡単に殺してゆく。是ほど手軽で金の掛…

芥川龍之介の短編小説 往生絵巻

極悪な武士が、ある法師から阿弥陀仏と親しくなれば極楽へ行けると、説法を 聞いたので、その法師に、阿弥陀仏はどこに行けば会えるのか?と問い質す。 法師は中々答えないので、武士は法師を締め上げて白状させると、ならば 西に行きなされと、答える。 そ…

芥川龍之介の短編小説 奇怪な再会?

日清戦争の勝利に湧く日本の明治28年の頃の話。 東京の陸軍一等計理部将校の牧野は支那人の女で山東省の軍港の傍にあった 妓館の娼婦であった恵蓮(けいれん)を身請け同様にして日本へ連れて来て 妾として東京市の本所に住まわせる。名を、お蓮と呼ぶ。 周…

芥川龍之介の短編小説 捨児

浅草の寺の門前に男児の赤子が捨てられていた。住職はその赤子を育てる。男児が三才になった頃、母と名乗る女が寺に来て、男児の母と名乗る。女の語る経緯を聞いた住職は話を信じて男児を女に託した。だが、その女は男児の母ではなかった。女は夫や自分の子…

地球の寿命と人類の行方

地球は46億年前に太陽系より生まれ、50億年後に太陽に吸収され消滅する。 96億年の生涯が地球である。人類の誕生は50~30万年前ですから、その 地球上での経歴は新しい方の新参者です。 他方では印度での宇宙観を端的に表すのが五百塵点劫(ごひゃくじんてん…

亡き人と次々出会う春の夢

春の夜明け頃 二度寝した。其の時、昔、亡くなくった父母、死んだ友人など 昔、身近な人達でとっくに鬼籍に入った人達が次々と現れて、昔話に花が咲いた。 そして不図、目が覚めたら部屋には春の朝陽が差し込んでいた。春眠がもたらした 思わぬプレゼントで…

心の貧しい人は仕合せじゃ 一条 天国はその人のものとなろう 芥川龍之介の短編小説

シリアの山奥に大男がおった。名をレプロボスと言う、その大男の頭の毛に何十羽もの シジュウカラが巣を作り暮らす。山の民が困れば、彼が来て助けてくれた。旅人、里人 盗賊、猟師、牧童、樵など誰も彼を頼っていたので、悪口をいう人はいない。 ある里人が…

仏説無常経

世の中は常に有為転変です。そして常に流れて不動のものはない。 人も然り。老病死苦から逃れる人は誰一人としてない。人間の最大の 悩み、これが老病死苦である。これを説いたのが仏説無常経である。 仏教を志す人は、無常を知るべし。仏の教えとは、無常を…

芥川龍之介の地獄変

偏屈の絵師が身分の高い殿様からの依頼で地獄絵の屏風を描く様に依頼された。 だがどうしても描けない部分が一ヶ所だけあった。それは牛車に乗った姫が 業火に燃え盛る様子だ。なぜ描けなかったのか?それは自分の一人娘が、その 牛車に乗せられて火を掛けら…

忠を取るか実を取るか?

発狂した主君に忠を尽くした譜代の家老と発狂した主君を見限って逐電した国家老 の命運は?前者は縛り首、後者はお家を失ったが命を長らえる。 芥川龍之介の短編小説 忠義の内容である。 発狂した主君のたっての頼みであった登城を独断で許した譜代の家老は…

ユートピアとは

現実には決して存在しない理想的な社会がユートピアである。 人々はユートピアを望みながらも決して、其の様な社会を構築 することはない。人の心は複雑で、しかも測りし得ない難物の 塊であるから、理想郷などは、概念としては、あり得るが、永遠に その地…

時間とは一体、何なのか?

地球上に生きる者は時間を感じていますが、過去、現在、未来と一直線に流れるものと して時間を考える。しかし 地球をはなれたら、時間という概念は消滅するのではないか? 時間は謂わば箱の中に詰められたモノで、箱が壊れたら時間は一気に放出されて、消え…

ケチと倹約

先日、蜜柑を扱うお店でポンカンや八朔などの詰め物を10キロ買って自宅に送るよう依頼した。着いた荷物を開けたらお目当てのポンカンは少なく八朔などのほかの柑橘類が多く混ざった状態だった。適当に混ぜて送ってくださいと言ったのが裏目となった様だ。 店…

本当に生きるとは?

世の中には様々な考えで人生を生きる人達がいます。多くの人はこの世の中での 栄達を得んが為に人生を切り開いている。其の為には手段を選ばずがむしゃらに 突き進んでゆきます。栄達とは詰まる所、自身の身や心に対してより多くの財や 名誉を得んがためであ…

貧しく生きる

心に求めるものがない、願うこともない、心が空っぽなら、迷いようもない。 これが貧しく生きるコツ。人に諂わず、利益があると思ったことには手を出さずに 捨て置く、人に気に入られようとせずに自然体で 暮らす。心の重荷になる事は しない代わりに、身や…

財と人

財を貯め込むとは、自分の安寧を願う為、つまり一時の安寧の為の防波堤を築く事 である。人の命の先は誰も知る由もないにもかかわらず、人は一時の安寧の為 苦心して防波堤としての財をため込む。防波堤は常に修復し、手入れをせねば ならない。崩す者が常に…

人の心

国に一人の賢人が出れば、その国は盛んとなり、その後、愚人が出れば、賢人 が為した事は廃れてしまう。国や社会とはそんなものである。 人の多くは善行をすれば世間に知れ渡りたく思い、悪事をすれば世間に知られたく 無いように思い、隠すものだ。 人は兎…

生きる事とは?

人の一生は既に生まれ落ちた時から決まっている。 人が一生のうちに食べる事が出来る食量は既に決まっているから、それ以上を求めても 無駄である。それ以下でも不平を思わずに過ごす事が大切である。以上以下はその人が 決める事ではないので、本人はそれに…

2021.02.21熊野古道 紀伊路パート2  紀伊宮原から湯浅町へ①

神仏への飽くなき願いが、熊野詣となって、中世では蟻の熊野詣と呼ばれる盛況 を博した。有田川を渡り対岸の糸我山に連なる糸我峠を越えて湯浅町に至るのが 今回のコース。今は有田地区は有名な紀伊国屋文左衛門の発祥の地で蜜柑栽培の メッカ。この時期は蜜…

君だけが知っている?

君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をも知る人ぞ知る 紀友則 義経記、 東国に旅を重ねる義経は伊勢三郎の館に無断で侵入した。義経は一夜の宿を乞うも、館の女房に断られる。その際、義経は、主が戻ったら、この歌を我の証に告げよ、と言って、侍詰所に強…