芥川龍之介の地獄変

偏屈の絵師が身分の高い殿様からの依頼で地獄絵の屏風を描く様に依頼された。

だがどうしても描けない部分が一ヶ所だけあった。それは牛車に乗った姫が

業火に燃え盛る様子だ。なぜ描けなかったのか?それは自分の一人娘が、その

牛車に乗せられて火を掛けられる姿を見てから絵を描かねばならないからだ。

絵師は、実際に地獄を再現させてから、それを見て写生してからでないと画けない

タチだったのだ。殿様が自分が乗る豪華な牛車に絵師の一人娘を乗せて、それを

家来に焼かせて見せる。それを絵師に見せて地獄絵を描かせたのだ。

 

様々な地獄絵を、その絵師は描いたが、牛車に乗った姫が業火に焼かれる様だけは

描けなかったのは、我が娘を人身御供にされるのを恐れたからだった。しかし、

それが現実となった今、殿様に頼んで牛車を焼く事を頼んだ手前、我が娘が焼かれる

事を察知した絵師には、もはや拒めないところまで来てしまった。そして恐れていた

ことが現実の事となる。絵が完成した翌日、絵師は自殺した。

 

地獄絵はいかなる時代でも、決して無くならない。上記の話は平安時代の話だが

現代社会でも様々な地獄絵を目の当りにしている。それも世界のどこかで毎日の

様に地獄絵が報道されている。ミヤンマーでの自国民を殺す軍政の凄まじい地獄絵、

中国のウイグル人へのジェノサイド、北朝鮮のミサイル発射の地獄絵、異民族への

ヘイトクライム、疫病蔓延と、ワクチン外交で世界を支配する卑劣な国など。

世界に満ち溢れる地獄絵は、とどまる事を忘れた様に毎日が地獄絵の世界となって

いる。人間程、地獄絵が好きな生き物は他にはない。

 

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