知恵と方便は仏教での欠くべからずのセットモノである。方便はまた慈悲とも言う、
知恵は知識やそれを使いこなす力を意味する、方便は、知恵を使う方法や手段であり、
仏教的にはその手段の最たるものが慈悲心である。
知は向上心で高みへの挑戦であるが、方便はより身近なより衆生的な世界へと
下がって行く為の方法である。
知が現世からより高い世界への昇華を求めるのに対し、方便(慈悲)は現世の世界
への回帰と同化にある。
慈悲のない知恵は解脱の為の足枷となり、知恵に慈悲が乗っかれば、それは本物の解脱
であって、衆生の病も維摩の病も癒えるのである。